ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

もののけ

いるのか、いないのか。

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逢魔が時に会いましょう』荻原浩/著、集英社

民俗学者・布目准教授の助手としてフィールドワークに行くことになった大学4年のマヤ。
座敷わらし、河童、天狗。
目撃情報ははたして本物なのか。
イケメンだけど変わり者の准教授と女子大生の迷コンビによる、もののけの正体探しの珍道中。

「日常のすぐ近くには非日常がたくさんある」

作中に出てくる言葉です。
まさに。
民俗学の面白さを一言で表すと、こういうことかなと思いました。

不可思議な現象そのものは無視して、そういった伝承や信仰が残った歴史的文化的背景を研究するのが、民俗学。作中で布目先生はこう言っています。不思議現象を追究していったらそれはオカルト研究ってことですね。でも、この作品では、ばんばん不思議に向き合って、迷い込んでいきます。
民俗学とオカルトの境界線。

妖怪、神、精霊。
もののけ外来種も出てきたりして。
登場人物のキャラクターもおもしろくて一気読みしてしまう、民俗学小説です。