バッファロー
永遠に結ばれる。
『バッファローのむすめ』ポール・ゴーブル/さく、もりしたみねこ/やく、ほるぷ出版
狩りの名人として知られている若者。
仲間に肉が必要な時はバッファローの群れを見つけて狩りをし、感謝の祈りを捧げていました。
ある日、バッファローの国からひとりの美しい娘がやってきました。
「おたがいの国のあいだに、愛がひろまっていくように」
若者の妻になりたいという娘と、若者は結婚するのですが…。
バッファローと人間との深いむすびつきを描いた絵本。
北米の大草原地帯でバッファローを追いかけていた部族たちの物語がもとになっています。
豊かな色彩と、ハッとするほど大胆でいて繊細な、紙面全体にわたって軽やかに描きあげる構図。
ポール・ゴーブルの世界に魅了されてから、絵本をポツポツと買い集めています。
なぜ絶版になっているのかが理解できないほど、胸にぐっとせまるよい絵本ばかり。
自然と共生し力強く生きるアメリカ・インディアンの世界。
エコやSDGs、有機や循環型や自給自足など、環境に優しく自分自身にも優しい生活がブームのようになっている現在。
身近なところでも、自然と共に生きることの大切さに気づき、実践に移している人も増えています。
私は、便利な社会を捨てることはできない。
一種のブランドのように「おしゃれにかっこよく」もてはやされているその生き方に、私はいまいちピンときていなくて、深い部分で理解できていないからだと思います。
けれど、この絵本を読むと、自然との共生とはこういうことか、と、合点がいくのです。
痛みを伴い、真の豊かさを知る。
強い女性の物語が好きな私ですが、これは勇ましい若者が主人公。
なぜかジブリの「もののけ姫」のアシタカを思い出してキュンとしてしまいました。
自然との共生を願う人なら一度は読んでほしい。
本当に美しい絵本です。