あたたかいココアをどうぞ。
『木曜日にはココアを』青山美智子/著、宝島社
川沿いの桜並木のそばに佇む小さな喫茶店「マーブル・カフェ」。
そのカフェで出された一杯のココアから始まる12編の連作短編集。
喫茶店の話なのかと思っていたら、それは第1話の舞台。
だんだんと舞台は広がり、シドニーにまでつながります。
だれかの決断が、次のだれかの幸せへとつながっていく。
幸せの連鎖が描く丸い円が、あちこちに見えるかのようでした。
ひとつひとつはとても短いお話なのに、そこにある背景を私はもう知っているから、とても深く豊かな物語になる。
読み進めるとどんどんとあたたかい気持ちになっていく、優しさに満ちた1冊です。