生きているモノ以外でお願いします。
『とりつくしま』東直子/著、筑摩書房
この世に未練を残して死んだ人の前に現れる「とりつくしま係」。
愛しい人のそばへ、モノになって戻ることを選んだ人たちを描いた短編集。
何になりたいですか?
そう問われて、私ならとっさに何を思いつくだろう。
消耗品を選ぶのは、正解かもしれないと思います。
なくなるまでの期間限定。
時が止まったままの自分が、残された人が前に進んでいく様子、変わっていく姿を見続けるのは、ちょっとつらいと思うから。
「死」を今までになかった視点から考えさせてくれる、切なくて、クスッと笑えて、やっぱりかなしい物語集です。