へくそ花

ヒロイン。

『へくそ花も花盛り　大道あや聞き書き一代記と、その絵の世界』大道あや／語り・画、福音館書店

60歳で初めて絵筆を持ち、素朴画家として花を咲かせた大道あやの回想記。

「原爆の図」で有名な丸木位里の妹で、埼玉ゆかりの絵本作家。
この本を読むまで、それくらいの知識しかありませんでした。

一代記。
ちょっとびっくりするほど面白くて、少しずつ大事に読んでいました。
これは朝の連続ドラマ小説かと思うほど、面白かった。

「おもしろい」と言ってはいけないような、大変な出来事もたくさんあります。
それこそドラマや映画を見ているかのような。
壮絶な人生。

広島での原爆体験も語られています。
広島生まれということを、この本で知りました。

巻き込み巻き込まれ、芯を持ち渦の中心にいるような女性。
『ねこのごんごん』ような力強い絵本がうまれる背景を見ることができました。

前知識なしで読んでも十分面白いですよ。

それにしても、福音館文庫ってすごいです。
児童書の体裁をしつつ、大人に届けたい本もたくさん出版しています。
石牟礼道子さんの『水はみどろの宮』もそうですが、元々は児童書ではなかった本が福音館文庫で復刻されていて、今も読むことができる。
とても嬉しいことです。
良書を後世に残すための仕事、変わらずに続けていってほしいと願っています。