ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

海からはじまる

幻想的現実。

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『海』小川洋子/著、新潮社

静かで、どこか秘密めいた妖しさをまとった短編集。

『ことり』で小川ワールドに迷い込み、ずっと積読になっていたこの『海』を手に取りました。

「鳴鱗琴」という楽器の音色、缶ドロップの優しさ、活字管理人の艶やかさ。
色とりどりのひよこに、不完全なシャツに、ガイドの旗。

どのお話もそれぞれに印象深いのは、登場する「ちょっと変わったもの」たちが魅力的だからでしょう。

短編ひとつひとつについて、読んだ人と語り合いたくなるような。
読書会にいいかもしれません。

クスッと笑ってしまうユーモアと、つかみどころのない不思議の世界観。
小川ワールドにますますはまりそうです。