小さいおうち
私の居場所。
昭和初期、東京郊外の赤い屋根の家。
女中タキと、若く美しい奥様。
戦争の影が迫る時代に生きる女性たちの物語。
今の日本に似ている、と思い、再読しました。
待ち望んでいた東京オリンピックが返上になったり、人々が買いだめに走ったり…。
まるで今の私達のようではないですか?
物語の中で、戦争が人々の生活に陰りを落とすのですが、現代の私達が歴史として習うことや戦争映画で見ることと、当時を生きていたタキ達の実感とが違っているということに、妙にリアリティーを感じました。
徐々におしよせてくる不穏な影になんとなく気づきながらも、現実感なくやり過ごしてしまう。
どんな時も人は、そんなものなのかもしれません。
今、読む本読む本、新型コロナに影響されてしまうのも、今だけと思い、この感覚を大事にしたいと思います。
とても美しい物語です。
今の状況が落ち着いたら、また読みたい。