ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

うさぎ

パンが食べたくなります。

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『うさぎパン』瀧羽麻子/著、幻冬舎

幼い頃に母を亡くし、仲の良いまま母と暮らす優子。
高校生になって、家庭教師の美和ちゃんが来るようになった。
同級生の富田くんとはパン好き同士で気があって、大好きなパン屋巡りを始める。
そんなある日、優子の前に思いがけない女性が現れ…。

文章が心地よくて「いいな」と思うと瀧羽さんの作品だった、ということが何度もあります。
京都が舞台だったり、共感できる人物像だったり、描かれる物語も心にしっくりくるものが多く、安心して手に取れる作家さんのひとりです。

これは高校生のお話。
等身大なのに、ちょっと不思議な物語です。

文庫本には「はちみつ」という短編も収録されています。
こちらは20代の失恋のお話。

どちらも、優しさがにじみ出る文章で紡がれています。

世界は優しさであふれている。
そう信じさせてくれるような、前向きであたたかな小説です。