うさぎ
パンが食べたくなります。
幼い頃に母を亡くし、仲の良いまま母と暮らす優子。
高校生になって、家庭教師の美和ちゃんが来るようになった。
同級生の富田くんとはパン好き同士で気があって、大好きなパン屋巡りを始める。
そんなある日、優子の前に思いがけない女性が現れ…。
文章が心地よくて「いいな」と思うと瀧羽さんの作品だった、ということが何度もあります。
京都が舞台だったり、共感できる人物像だったり、描かれる物語も心にしっくりくるものが多く、安心して手に取れる作家さんのひとりです。
これは高校生のお話。
等身大なのに、ちょっと不思議な物語です。
文庫本には「はちみつ」という短編も収録されています。
こちらは20代の失恋のお話。
どちらも、優しさがにじみ出る文章で紡がれています。
世界は優しさであふれている。
そう信じさせてくれるような、前向きであたたかな小説です。