オマージュ
文学に触れるきっかけに。
『新釈走れメロス 他四篇 』森見登美彦/著、KADOKAWA
日本の文学作品5編が、森見節で現代の京都によみがえります。
「山月記」「走れメロス」「桜の森の満開の下」など、教科書でもおなじみの名作ばかり。
月に1回の読書会で名作文学を読む機会が増えたので、この作品の面白さを再確認しています。
最初に読んだのは数年前ですが、その頃はそこまで元ネタの文学作品に関心がなかったので、「森見氏、よくやるなあ」という印象くらいで、純粋に森見ファンとして森見作品を楽しんでいただけだったのでした。
でも、いまは、元ネタに関する知識も少し増えたので、よりこのオマージュ作品たちを楽しめます。
そしてやっぱり思う。
「森見氏、よくやるなあ」と。
私が好きなのは「桜の森の満開の下」。
坂口安吾の作品はホラーのような、怪談の雰囲気が強いですが、森見氏の「桜の森の満開の下」は、哀しく美しい。現代のお話なので、より悲哀が伝わってくるのかもしれません。
元は祥伝社で出版されていた作品ですが、私が持っているのは角川文庫版。
表紙はおなじみ中村佑介さんのイラストで、眺めていると発見があっておもしろい。
千野帽子さんの解説までおもしろい、しゃれた1冊です。