ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

姉妹と兄妹

隣の姉妹と、うちの兄妹。

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『となりの姉妹』長野まゆみ/著、講談社

まず、この本の装丁について語らせてください。
淡い色彩の装丁画は美しく、見返しもとても凝っています。
そして特記すべきは、紙。
薄い透かし模様のある紙が使われているんです。
綴じの糸にもこだわりが感じられて、本当に美しい。

読み終わっても手元に置いておきたくなる本は、こういう本だと思います。

さて、この本の内容へ。

些細な出来事がからみあって、いつのまにか不思議な世界へと迷い込んでしまう。
そんな妖しい雰囲気たっぷりの物語です。

おばさんが遺した、なぞのしりとり。
白蛇、蛇の石、鏡、暗渠、黄金のなる木。
隣に住む姉妹と、放浪の兄と、個性的な間借り人。

登場する人やモノゴトがどれもこれも妖しくて、民俗的なことが好きな私にはぴったりとハマるおもしろさでした。

長野まゆみさんの作品は、10代のころ大好きで高校の図書室にあった本は全部読んでました。少年が主人公のお話は多かったと思います。文庫を少しずつ集めて読んでいたけど、20代になってから少し遠ざかっていましたが、今回この『となりの姉妹』というタイトルに惹かれてまた手に取りました。

私は姉妹の妹なので、姉妹モノには惹かれてしまうんです。
と、思っていましたが、私は兄妹の妹でもあるんです。
3人兄妹の末っ子なんですよね。
ですから兄妹モノにも弱いのです。

この作品はまさに、姉妹モノであり兄妹モノでもあり、私にぴったりの物語でした。

妖しいばかりでなくユーモアもある。
好きだったのは、お話の中でおばあさんがたくさん登場する場面で、「これはどのおばあさんだっけ?」と少し混乱しそうになっていた時。次を読んだら、その気持ちそのままに「おばあさんがたくさん出てきてわかりにくい」と書いてあったんです。おお。読者の気持ちを代弁してくれる主人公って素敵。置いてきぼりにしない優しさというか、「だよねー」っていう共感というか。そういうのって好きなんですよね。

長野まゆみさんの作品、またさかのぼって読まなくては!と思わされた読書体験でした。