ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

祈りの龍

雨乞いの行事です。

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『雨をよぶ龍 4年にいちどの雨ごい行事』秋山とも子/作、童心社

埼玉県鶴ケ島市脚折地区に江戸時代から伝わる、降雨祈願の行事。
一度は途絶えましたが、昭和51年に復活し、今でも4年に1回行われています。

竹と麦わらで作られた「龍蛇」は約300人の男たちに担がれ、白髭神社から雷電池までの約2キロの行程を練り歩きます。雷電池に着くと池に入り、池のなかをぐるぐるとまわる。最後は担ぎ手たちの手で「龍神」は解体されます。

この龍蛇作りの様子から、雷電池で龍神となるクライマックスまで、雨乞の日当日の様子を丁寧に描いた絵本。対象と共に行動し地道に取材を重ねて作り上げる、秋山とも子さんの丁寧な絵本作りが光ります。

『はなび』もそうですが、華やかなクライマックスだけでなく、そこまでの道筋に焦点をあてた構成がいいですよね。

子どもだけでなく大人にも貴重な資料となり得る、すばらしい行事絵本です。