ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

愛情のリレー

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『そして、バトンは渡された』
瀬尾まいこ/著、文藝春秋

そこそこ性格がひねくれている私は、本屋大賞とか直木賞とか芥川賞とか「受賞したから読もう」とはならず、どちらかというと「受賞したんだからいい本に決まってるし、私が読まなくても大丈夫でしょ」というよくわからない理屈で、実はあまり読んでいなかったりします。図書館では予約が多くて「自分よりも利用者さま優先で」という気持ちがあるのですぐには借りられないですし、買ってまで読むのはミーハーかな…とか、本当によくわからないひねくれた理屈をさらにひねくれさせています。

この本は、今年の本屋大賞

読もうと思ったきっかけは、本屋大賞を受賞する前でした。
ものすごく推している本屋さんがいる。
同僚の司書がめずらしく面白かったともらしている。

なんだか気になって、読まずにはいられない。

図書館の予約を入れて、順番が回ってくるのを待っていました。
そんな折、本屋大賞受賞が発表されました。
私の後ろにどんどん予約が入っていく…。

読もうと思っていた本が読む前に有名になってしまった、複雑な感情。
でもやっぱりこの本にはそれだけの力があるのだと思い、ますます読むのが楽しみになりました。

読み始めると、一気に読んでしまいました。

図書館で選書を担当しているので、どんなあらすじか、装丁か、帯の文章か、手触りか、そういうことは知っていたので、面白そうな雰囲気は感じていました。エンターテイメント的なことではなく、物語の持つ人を引き込む力のことです。そういうのって、長年本を扱ってきていると、本の佇まいからなんとなく察知できるようになりませんか?

そんな予感を、本物に変えてくれました。

2人の母親と3人の父親に大切に育てられた、愛情の物語。

こんなにあたたかくやさしい物語に、久しぶりに出会いました。

受賞した本はあまり読んでないと最初に書きましたが、本屋大賞を受賞した本はやっぱりどれも納得のおもしろさがあるのを知っているっていうことは、私、よく考えてみたらそこそこ読んでました。
本屋大賞には、本を読む楽しさや物語の持つ力を、やさしく包み込むように教えてくれる本が多いと感じます。

『そして、バトンは渡された』
本屋大賞納得の、とても素敵な物語です。