猫はかしこい
世界は、肉球よりも、まるい。
きりこは「ぶす」な女の子。
小学校の体育館裏で、人の言葉がわかる、とても賢い黒猫ラムセス2世をひろった。
「ぶす」と言われて傷ついたきりこが見つけた、世の中で一番大切なこととは。
西加奈子さんの独特の表現が面白くて、楽しく読めます。
どこまでも冷静で中立的な視点がすがすがしい。
結構ストレートにいろいろなことを書いているのだけれど、イヤな気持ちになることはありません。
実は重たいテーマだと思うのですが、これだけカラリと描けるのはすごいと思います。
人も、猫も、いるだけでいい。
猫の聡明さと優しさに満ちた、猫好きにもイチオシの1冊です。
最後の方でラムセス2世が言う「借りてきた猫は、すぐに返しなさい」がツボでした。
コンプレックスのかたまりのような少女時代を、吹き飛ばしてくれる小説です。