雪のように白い猫
甘くてせつない猫の片思い。
子猫の時にごみ袋に捨てられていたところを助けてくれた理々子。
だからぼくは理々子が何より大切なんだ。
理々子がピンチの時に、人間の姿に変身できる力を手に入れた白猫タマオ。でもそれは夜だけで、寿命も縮む。でも、大好きな理々子のために…。
白猫タマオの、人間の女性への片思い。
猫の目線で書かれているので、一生懸命なんだけどどこか抜けていて、ほっこりします。
猫だけが知っている夏目漱石の秘密のくだりとか、面白すぎます。
好きな1節があります。
落ち込んでいる理々子を見つめるタマオの気持ち。
“理々子は黙って流れる景色を眺めていた。白い頬に白い産毛が光っていた。その産毛がもっと濃くなってもっと長くなってぼくと同じ白い猫になってしまえばいい。ぼくはそのとき本気でそう願った。”
飼い猫にこんな風に想われたら、嬉しいな。
そう思いながらうちの黒猫を見て、ふと思いました。
黒猫にこんな風に想われたら、なんかイヤかも…。
そんなに産毛濃くないし…。
白猫だから美しい、愛しい描写です。
猫目線の小説のなかでも読みやすくて面白い、そしてせつない恋の物語です。