エール
からだの中からあたたまる。
『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都/著、集英社
結婚式直前に婚約を解消された明日羽(あすわ)。
どん底の彼女に叔母のロッカさんが提案したのは、“やりたいことリスト"の作成でした。
丁寧な描写で紡がれる、じんわりと心に染みる物語。
ゆっくりと、でも確実に前に歩み出す主人公から元気がもらえます。
「自分の気持ちに正直に生きる」ことは、簡単ではない。
社会の中で、友達や恋人や家族の中で、誰かに気を遣いながら生きている。
自分ベースで生きられたら楽だろうとわかっていても。
私がこの本を読んだ頃、ちょうど知人が婚約間近と思っていた恋人と別れた時期でした。
設定があまりにもハマりすぎていたので、当時の彼女にはすすめられなかったのですが、この本に込められたエールを、彼女みたいにどん底にいる女性に届けたいと思いました。
そしてこの主人公のように、少しずつ立ち直ってほしい、と。
読み終えたあとの、すがすがしい気持ち。
じんわりと染みる、スープのような小説です。