ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(中高生)

虹と蛇

今年最後の本の紹介です。 『虹いろ図書館のへびおとこ』櫻井とりお/著、河出書房新社いじめがきっかけで学校に行けなくなった、小学6年生の火村ほのか。 たどり着いたおんぼろ図書館でみどり色の司書、謎の少年、そしてたくさんの本に出会い、ほのかの世界…

アイスクリン

文明開化の音がする。 『アイスクリン強し』畠中恵/著、講談社江戸から明治に変わり、文明開化の音が聞こえる東京。 念願だった西洋菓子店を開いたミナこと皆川真次郎の元に、甘いお菓子を求める「若様組」がやっかいな騒動と一緒にやってくる!チヨコレイ…

違いのわかる人

違いがわかる大人になりたい。 『ちがいがわかるいきもの図鑑』成島悦雄/監修、小林万里子・仲島綾乃/絵、高橋書店タヌキとアライグマの違い、わかりますか?違うことはわかるけど「どう違うの?」って聞かれると答えられなかったり。そんな曖昧な認識のな…

十二国の戦い

心の中で「高里くん」と呼んでいます。 『白銀の墟 玄の月』全4巻、小野不由美/著、新潮社早く続きが読みたい、でも読み終えたくない、というせめぎ合い。 少しずつ読み進めたけど、最後の数章はもう止められず、寝不足覚悟で深夜まで読んでしまいました。1…

キノ

エルメスは言葉を話す二輪車です。 『キノの旅』時雨沢恵一/著、KADOKAWAキノとエルメスの旅の物語。都内の学校図書館に勤めていた頃、このシリーズは生徒たちに人気で、イラストも素敵だったので気になっていたものの、読んだことがありませんでし…

スパイシーな寓話

動物たちが教えてくれる人生の教訓。 『ラ・フォンテーヌ寓話』ラ・フォンテーヌ/作、ブーテ・ド・モンヴェル/絵、大澤千加/訳、洋洋社17世紀のフランスの詩人ラ・フォンテーヌは、皇帝ルイ14世の王太子に「人生の教訓を学んでもらいたい」との思いで…

イワナミ少年

子どものための特別な本。 『本へのとびら ー岩波少年文庫を語る』宮崎駿/著、岩波書店Twitterで岩波少年文庫が盛り上がっているので、この本をご紹介せずにはいられません。 この本では、宮崎駿さんが選んだ岩波少年文庫50冊が紹介されています。スタジ…

鏡の向こう側

童話の狼。 『かがみの孤城』辻村深月/著、ポプラ社学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めたー。遅ればせながら読んでみました。 中学生の、居心地の悪さとか、生きづらい感じとかが、リアルに伝わって…

17歳の物語

猫も登場します。 『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織/著、朝日新聞社17歳。 ちょっと裕福な家庭で育った、私立の女子高に通う女子高校生たち。 彼女たちの、少しずつ重なりあう6つの短編集です。江國香織さんの描く少女たちは、とても魅力的…

鬼と井戸と

大好きな1冊。 『鬼の橋』伊藤遊/作、太田大八/画、福音館書店平安時代の京の都。 歴史上の人物、小野篁の少年時代をモチーフにした物語です。少年篁は、ある日、妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込みます。 そこではすでに死んだはずの征夷大将…

少女の冒険

15歳のアラビアンナイト。 『これは王国のかぎ』荻原規子/著、KADOKAWA失恋した15歳の誕生日、ひろみは目が覚めたらアラビアンナイトの世界に飛び込んでいた!異世界に迷い込んだ少女の冒険物語。 本当におもしろくてワクワクしながら読んだ思い出がありま…

ことり

気が強くてしっかり者。 『ぼくの小鳥ちゃん』江國香織/著、新潮社雪の朝、ぼくの部屋に迷い込んできた小鳥ちゃんと、ぼくと彼女の物語。ちょっとワガママな小鳥ちゃん。 ラム酒のかかったアイスクリームが好きだったり、ぼくのガールフレンドにやきもちを…

十二の国

強さと賢さ。 『図南の翼』小野不由美/著、新潮社十二国記を夢中で読んでいます。 もうすぐシリーズを読み終えてしまいそうで、ロスになりそう。『図南の翼』は、シリーズ6作目。 表紙を見たらわかるように、気の強い女の子が主人公。 先王がたおれて27年、…

愛情のリレー

『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ/著、文藝春秋そこそこ性格がひねくれている私は、本屋大賞とか直木賞とか芥川賞とか「受賞したから読もう」とはならず、どちらかというと「受賞したんだからいい本に決まってるし、私が読まなくても大丈夫でしょ」…

黒猫といっしょ

猫と一緒に空を飛ぶ。 『魔女の宅急便』角野栄子/著、角川書店スタジオジブリの映画は、何度も繰り返し観ました。 小説を読んだのは中学生の頃。 黄色とオレンジ色の鮮やかな装丁が印象的でした。文庫本が出ているのを知って、再読のために購入しました。 …

みすゞの詩

こころにしみる詩。 『わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ童謡集』金子みすゞ/著、矢崎節夫/選、ジュラ出版局高校生の頃、学校の図書室には1冊のノートがありました。 生徒たちと司書の先生の交換ノート。「こんな本がほしい」とか「いつもありがとう」とか…

究極のエンターテイメント!

日本が未確認生物に襲われた…! 『海の底』有川浩/著、角川書店学校図書館に勤めていた時に出会った作家、有川浩さん。 はじめて読んだのは『図書館戦争』で、そのあまりの面白さに衝撃を受けました。 小説はエンターテイメントだ! それを学んだのは、有川…

空を飛ぶ方法

すっごくツボにはまりました。 『少年少女飛行倶楽部』加納朋子/著、文藝春秋中学生の海月は、幼なじみに誘われて「飛行クラブ」に入部する。 活動内容は「空を飛ぶこと」という変わったクラブには、やっぱり変わった人達が集まっている。 彼らは、果たして…

海に送る手紙

私は海のない街で生まれ育ちました。 『ガラスの封筒と海と』アレックス・シアラー/著、金原瑞人/訳、西本かおる/訳 、求龍堂ヤングアダルト小説の名手、アレックス・シアラーの作品。 船乗りの父を海で失った少年が、瓶に手紙を入れて海に流す。 海から…

それでも終わりは来る

エンデといえばこれです。 『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ/作、岩波書店高校生の夏休みに、部屋にこもって読みふけっていました。映画「ネバー・エンディング・ストーリー」が大好きで何度も繰り返し観ていて、ファルコンに乗りたいと本気で思ってい…

物語のヒロインたち

氷室冴子さんの作品のなかでもお気に入り。 『シンデレラ迷宮』氷室冴子/著、集英社ある朝目覚めると、別世界にいた女の子。 そこで出会う物語のヒロインたち。 思春期の少女たちの心に寄り添った、名作です。小学生の頃、氷室冴子さんの作品は全部持ってい…

少女のはじめて物語

本編全6巻。ラストがね、いいんです。 『RDG レッドデータガール』荻原規子/著、KADOKAWA荻原規子さんの描く、現代日本を舞台にしたファンタジー。 主人公の泉水子は、大きな影響力を持った存在なのに、どこまでも控えめな女の子で、そのガツガツしてない感…

裏庭から

庭のある家に住んでいることが嬉しくなりました。 『裏庭』梨木香歩/著、新潮社子どもの頃、実は「不思議の世界に迷いこむ系」のお話が苦手でした。嫌いではなかったのですが、動物としゃべったり、不思議な生き物が登場したり、その不思議な生き物は予測不…

増えていく本

いろんな方からのプレゼントもあって、私は5冊も持ってます。 『星の王子さま』サン=テグジュペリ/作、内藤濯/訳、岩波書店フランス生まれの名作。 「たいせつなことは目に見えない」 このセリフで有名です。子どもと大人とでは、読み方や感じ方が変わる…

空色の風

ひたすらまっすぐ。 『空色ヒッチハイカー』橋本紡/著、新潮社橋本紡さんの作品の中でもお気に入りの1冊。 図書館でもよくおすすめ本に選んでいるのですが、内容というか、設定が少し特殊なので、おすすめしにくい部分もあり、選んでいいのかなとよく悩み…

ロバ愛がとまらない

美しいものが詰まった本。 『プラテーロとわたし』J・R・ヒメネス/著、伊藤武好、伊藤百合子/訳、長新太/絵、理論社ロバのプラテーロとわたしの日々を綴った本。 詩人ヒメネスらしく、一編ずつが短くて詩のような読み心地です。 スペインの田舎の美しい…

猫を助ける少女

橋本紡さんの作品には、いつも猫が登場します。 これは、その猫がテーマの作品。 『猫泥棒と木曜日のキッチン』橋本紡/著、メディアワークス突然失踪してしまった母親、残された私と小さい弟。 捨てられていた子猫。 助けられなかった命、助けてあげたい命…

和菓子は芸術だ

タイトルがいいですよね。 『和菓子のアン』坂木司/著、光文社デパ地下の和菓子屋さんで働きはじめたアンちゃんのお話。 和菓子の奥深さに触れることができる、お仕事ミステリーです。恥ずかしい話、上生菓子を食べる機会がそんなにないので、和菓子の世界…

みんながプリンセスだった

中学生の頃、ボーッと生きていた私は、友達のことで悩むこともなく毎日ほんとにボーッと過ごしていました。 幸せのような、もったいないような。 『王妃の帰還』柚木麻子/著、実業之日本社私立女子校に通う中学2年生。 ある日、クラスの頂点に位置する姫グ…

新鮮な感動を

すべての子ども達と、現代に生きる大人達へ。 『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン/著、新潮社レイチェル・カーソンといえば、『沈黙の春』で環境汚染による地球の危機を世に先駆けて告発し、世界中の環境問題への意識を変えるきっかけをつくっ…