ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

お花見マルシェ

4月3日、お花見マルシェ@桶川に出店しました。

桶川市の旧川田谷郵便局、今は私有のレトロな建物が会場で、私は12月の冬ごもりマルシェに続き、2回目の参加です。

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すぐ近くの城山公園は桜が満開!
まさにお花見マルシェ!…となるはずが、あいにくの雨。

到着した時間はまだ小降りでしたが、外に出店予定だったフードやワークショップ系の出店が急きょ、室内に移動になったりと、はじまる前からわちゃわちゃしてました。

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ネコオドルはこんな感じ。
前回の参加で、お客さまはママと子どもが多いとわかったので、今回はファミリー向け選書にしました。

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ほかの出店者さん、みなさん素敵です!

毎回フード系を撮り忘れちゃうのですが、キッチンカーやタイカレー、そして美味しいコーヒー屋さんもありました。

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会場の一番いい場所にはピアノが。

ギターの弾き語りと、ピアノの弾き語り。
午後におふたりのライブが開催され、会場がひとつになったあたたかい雰囲気のなか、イベント終了になりました。

今回は、ライブがメインのイベントという感じで、会場のレイアウトも物販は端っこに小さくまとまっていました。
私もだけど、みんな前回のようには売り上げが出なかったのではないかと思うけど、それ以上に人との交流が楽しい時間になったと思います。

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主催さんのまわりにはたくさんのあたたかい人たちがいるんだなぁと、アットホームなイベントで人のあたたかさを感じる1日になりました。

いるんです。

それだけでいい。

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『ねこいる!」たなかひかる/作、ポプラ社

ねこがいるか、いないか。

本当にそれだけなのです。
ねこ、いる!
それだけを楽しむ絵本なのです。

猫圧とでも言うのでしょうか。

「猫である」ということだけをとにかく主張してくる絵本。

大好物です。
私が選ぶ猫圧絵本3選に入りました。

ちなみに他のふたつはこれ。

『ねこです。』北村裕花/作、講談社
『あばれネコ』キューライス/さく・え、KADOKAWA

猫圧強めの絵本、いかがですか。

神様

神様は偉大で、やっかいだ。

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『その午後、巨匠たちは、』藤原無雨/著、河出書房新社

町にふらりと現れた、歳を取らない女性・サイトウ。
山の中に建てた神社に6人の巨匠画家を神様として呼び寄せた。
町は、画家たちが描く絵画の世界に支配されていくが…。

北斎レンブラント、モネ、ダリ、ターナー、フリードリヒ。
名前を聞いてピンとこなくても、絵を見ればわかるような有名画家たちです。

「画家を神様に」とはどういうことか。
よくわからないままに読み進めていたら、注釈に次ぐ注釈で重ねられていく物語の面白さにいつの間にか取り憑かれていました。

知っている事柄に付いてる注釈って読み飛ばしてしまいがちだけど、これは絶対に読み飛ばしてはならない。

全然関係ないんだけど、子どもの頃に見ていたアニメのこと。
かわいいセーラー戦士たちのお話、胸をときめかせて楽しく見ていたのです。
それが最終章になると、宇宙規模の平和を守る話になって、かわいいとか面白いとか、それだけじゃ済まされなくなってきたのです。
私はかわいくて楽しいアニメを見ていたはずなのに、なんで今、こんなに壮大な話を深刻に見ているんだろう。

引き込まれた先は、想像していたよりも大人の世界でした。

そんなことを思い出した読書体験。
こんなに面白い本、久々に読みました。

ホラーか猫か

怖くない、は嘘になる。

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伊藤潤二の猫日記 よん&むー』伊藤潤二/著、講談社

ホラー漫画家・伊藤潤二の猫コミックエッセイ。

コミックエッセイという響きがこんなに似合わないコミックエッセイがあったでしょうか。
ギャグとホラーが入り交じってとにかく強烈なのです。

猫好き仲閒との会話で、石黒亜矢子さんの絵本の話から「だんなさんがホラー漫画家の」という話になり、「よんむーのマンガは読むべし!」とおすすめされて手にした本。
ホラーでしょ?と敬遠していたら、これは怖くないから!とのこと。

うん、怖くないし、むしろめっちゃ笑える!
でも絵は怖いけどな…。
慣れないテイストに最初、笑っていいのかためらってしまったけどな。

猫の可愛さとかあるあるとか、そういうことではなくて、猫に翻弄される人間をユニークに描いていて、他にない唯一無二の猫コミックだと思います。

今現在の伊藤石黒家の猫エッセイといえば石黒亜矢子さんの『てんまると家族絵日記』。
こちらは脱力のほほん系です。

お店番@太原堂

3月21日、熊谷にあるブックアパートメント太原堂さんでお店番をしました。

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太原堂は、ひと棚ごとにオーナーさんがいて、それぞれがこだわりの本を並べて販売している本屋さん。

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普段はスタッフさんにおまかせっきりなのですが、お店番ができるということで挑戦してみました。

お店番は、鍵あけからスタート。
ドキドキしながらはじまりました。

お店番の日は、お借りしてる棚分以外にも持ち込みOKで、机も用意してくださるとのことだったので、急きょ猫雑貨をたくさん持っていきました。
机が使えることを知ったのが前日で、本当に急すぎて事前にお知らせできなかったのが残念だったけど、ちょっとした猫まつりのようで自分のテンション上がったので良し!

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猫雑貨のほかにも、ZINEと古本、新刊の入れ替え分なども持っていきました。

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12時オープン。

ありがたいことに、お客さまや他の棚オーナーさんが次々と!
他の棚オーナーさんとはなかなかお会いする機会がないので、とても嬉しい!

空いた時間にお昼を食べようと思っていたけど、結局そんなヒマもないまま、閉店時間になっていました。
飲み物も開店時の一口しか飲めなかったし、お腹すいたー。

閉店後は、レジ閉め。
お金が合ってるかまたドキドキです。
特に今回私は、持ち込み商品のお会計は太原堂さんのレジを通さずに、マイ釣り銭を持参してのお会計にしたので、2重で確認しなくてはならず、計算に手こずり数字が頭の中で飛び交ってました。

なんとか計算を終えて、持ち込みを片づけてたら、1時間もかかってました。
次はもっと要領よくやりたい!

はじめてのお店番、ドキドキしたけど楽しかった!
やっぱり自分のお店とは全然違いますね。

またお店番したいと思います!

歴史に埋もれる

元祖ひとり出版社。

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『第一藝文社をさがして』早田リツ子/著、夏葉社

戦前のひとり出版社「第一藝文社」の知られざる軌跡を描く。

戦前の小さな出版社に興味を持って調べる。
そんな風変わりなことをする人が私以外にもいたのかと、勝手ながら同士の活動報告を読むような気持ちでした。

私の場合は祖父の出版社ですが、早田さんは「滋賀県にあった」ということから第一藝文社に興味を持ったとか。
きっかけはどこに転がっているかわかりませんね。

そして、第一藝文社に関心を寄せていたのが早田さんだけではなかっという事に驚きました。
それより前から山本善行さんが興味を持って調べていたのだという。
戦前の小さな出版社に、どうして。
自分が祖父の出版社について調べているからこそ、その偶然性が興味深いです。

早田さんはとても丁寧に第一藝文社について調べていて、なかでも中塚道祐の親族に会えたことや、戦後に雑誌に書き残した記録があったことで、史実に厚みが出たのだと思います。

そして出版物からひもとける、さまざまな著者とのつながり。
これは私も祖父の出版社を調べているなかで、明らかになっていく過程が本当に面白い部分です。

本をつくっているのは「人」なんだと実感する。

私もこんな風に、祖父の出版社について調べたことをまとめて、きちんと残していきたい。
戦時中に仲閒と3人で立ち上げ、約3年半で50冊出版した、勢いのあった祖父の出版社。
その軌跡を、どこまで追えるか。

まさに旅のようです。

戦争と猫

戦争の愚かさを。

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『シリアで猫を救う』アラー・アルジャリール/著、ダイアナ・ダーク/著、大塚敦子/訳、講談社

内戦下のシリアで、人や動物を助ける活動を続けるアラー・アルジャリールの記録。

子どもの頃から消防士や救急車の運転手になるのが夢だったアラー・アルジャリールは、内戦がはじまると、自分のミニバンを救急車にしたてて人々を救う活動をはじめた。

夢を叶える後押しが戦争でいいはずがない。
なんてかなしいことだろうと胸が痛みます。

救急車を走らせる日々のなかで、住民が避難したあとに取り残された猫たちの保護を始めたその行動は、命の重みを知る彼にはきっとなんの矛盾もためらいもなかったのだろうと想像します。

「猫を救う」ということは、やがて世界中の人々を動かし、猫サンクチュアリの創設につながっていく。
そして「猫を救う」ことは人を救うことにもつながっていく。

遠い過去の話ではないのです。
こんなに悲惨な現実が、海の向こうでは今も起きている。

この本を手にするのが猫きっかけでもいい。
読んでそして知ってほしい。

戦争の愚かさを痛切に訴えかけてくるノンフィクションです。