ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

今年もありがとうございました

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2021年もあとわずか。

今年もありがとうございました。

今年は、キジ(推定17歳)とのお別れがありました。
昨年、キジの子しゅんを見送っていたので、2年続けての悲しい出来事でした。

今は4匹と暮らしています。

ひょろひょろだった白茶のベル1歳は、プクプクに。
黒猫モロ7歳は寝てばかりで立派な中年おやじです。
白グレーのななこ9歳は、相変わらずの人見知りでツンデレ
濃グレ猫のぽんたは、キジの子で、15歳の高齢猫。

あたりまえだけど来年にはみんなひとつずつ年をとる。

猫も人も高齢化が気になりますが、元気に穏やかに暮らしていきたいです。

お店は、コロナ禍のためもあって、今年は静かな1年になりました。

そんななか、熊谷の太原堂さんでひと棚オーナーになったことが大きな出来事のひとつです。
お店の見せ方をあらためて考えてみたり、他の棚主さんと繋がりができたり、単に「棚を借りる」ということ以上に素敵な経験をさせていただいています。

来年はもっといろんなことに挑戦していきたい。

来年もよろしくお願いいたします。

ぼうしつき

ずっといっしょ。

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『わたしのマントはぼうしつき』東直子/作、町田尚子/絵、岩崎書店

ふちのところがふさふさの、お気に入りの赤いマント。
雨がふっても雪がふっても、いつでも一緒。
悲しくっても恥ずかしくても、帽子をかぶれば大丈夫。

くまと、うまと、ねこ2匹の、とびきりキュートなお話です。

東直子さんも町田尚子さんもとても大好きな作家さんなので、このコンビの絵本がでるなんて夢のようです。

弾むようにリズミカルな東さんの言葉は、何度も何度も声に出して読みたくなるし、町田さんが描く動物たちは表情豊かでいきいきとしていて、見ているだけで楽しくなります。

そばにあるだけで幸せになれる存在、ありますか?

ぎゅっと抱きしめたくなるほど愛らしい絵本です。

白猫のクリスマス

わたしのサンタさん。

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『サンタクロースのしろいねこ』スー・ステイントン/文、アン・モーティマー/絵、まえざわあきえ/訳、徳間書店

世界で一番北にあるサンタクロースの家には、雪のようにまっしろな猫スノウがいます。
あるクリスマスイブのこと、スノウはきらめく夜景に見とれるあまり、サンタさんのそりから落ちて迷子になってしまい…。

色鮮やかに繊細なタッチで描かれた、美しい絵本。
宝石のように輝く美しい白猫スノウ。
北風さんとレモン色のお月さまに見守られて遊ぶ姿は幻想的です。

クリスマスは町中がピカピカと飾り付けられ、たくさんのサンタクロースがいます。
サンタクロースを見つけては、本物じゃなくてがっかりするスノウ。

わたしのサンタさんは、どこにいるの?

「わたしのサンタさん」を探してさまようスノウの心細い気持ちが伝わってきて、胸がキュッとします。

猫って、物静かでクールな顔をしているけど、心のなかはとても雄弁。
美しい白猫の姿を見ていると、そんな猫の魅力に、心くすぐられます。
ギュッて抱きしめてあげたい。

あたたかく、優しさあふれる物語。

色鮮やかな美しい細密画による、心に残るクリスマス絵本。
宝物にしたい、美しい猫の絵本です。

サンタさんのだっこ

ぎゅっ。

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『だっこさんかいサンタクロース』角野栄子/作、よしむらめぐ/絵、小学館

今日はクリスマスイブ。
サンタさんがちゃんと来てくれるか心配なアコちゃんとクマちゃんとトラトラちゃん。
みんなで一緒に、サンタさんをお迎えする準備をします。

サンタさんが迷わないように目印の旗をつくったり。
サンタさんとトナカイのためにプレゼントを用意したり。

クリスマスを楽しみにしている子ども達のワクワク感が伝わってきます。

「眠らないぞ」と目をまんまるに開けてがんばる3人がとってもかわいい。
でもやっぱり眠気に勝てず眠ってしまうと…サンタクロースは現れるんですよね。

そんなよい子たちには、サンタさんからとびきりのごほうびが。

角野栄子のアコちゃん絵本」シリーズのなかの、クリスマスのお話。
ワクワクして眠れない夜に読んであげたい絵本です。

猫がいる百貨店

百貨店には魔法使いがいる。

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『百貨の魔法』村山早紀/著、ポプラ社

戦後の焼け跡のなかに、街の人々の希望として生まれ、愛されてきた星野百貨店。
創業50年を迎えた今、閉店が近いのではないかとささやかれている。
魔法を使う白い子猫がいるという噂がある百貨店で働く人たちの、奇跡のような物語。

エレベーターガールもテナントのスタッフも役員も、誰もが百貨店を愛している。
そしてそれぞれのやりかたで、百貨店を守ろうとしている。

強く、優しく、美しい。

そこで働く人々の誇りと願いがまっすぐに伝わってくる物語です。

この物語を読みながら、熊谷の八木橋百貨店のことを思いました。
かつて空襲に焼かれた街の、地元に愛される百貨店。

私も子どもの頃は両親に連れられてよく買い物に行っていましたが、いつのまにか、訪れる機会も減ってしまいました。

近々、できればこのクリスマスの時期に、百貨店の魔法を見つけに、行きたくなりました。

読書会@小部屋

12月12日、寄居読書会でした。

前回の開催が1月だったので、約1年ぶり。
コロナが少し落ち着いてきたので再開となりました。

今は5人のメンバーで幹事を順番にまわしていくスタイルで行っていて、今回はMさんプレゼンツです。

会場は図書館2階の素敵な小部屋をお借りしました。

課題本は、柳田国男の『遠野物語
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原文は難しくて頭に入ってこない…という事前意見が続出。
そこで現代語訳や絵本もOKとなって、読みやすいモノで各自読んでくることに。

私はなんとか原文で読み、ところどころ口語訳を参考に読み解きました。
「えほん遠野物語」シリーズはすべて読んでいたので、その内容も参考に。

読書会では、みなそれぞれ気になった箇所を取り上げながら、感想などを話し合いました。
これはどういう意味なのだろう、とみんなで頭を悩ませたり。
各々気になっていた部分が違っていたりして、とても興味深かったです。

約1年ぶりの読書会。
半分は近況報告の時間になりました。

この1年の間にみんな本当にいろいろなことがあって。
集まれなかった時間の長さを感じました。

その時々に、そばにいて声をかけてあげられていたら…
そんなふうに思えることも。

これからは間隔をあけずにもっとみんなで会えるといいな、としみじみ思うひとときになりました。

赤と青

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『赤と青とエスキース』青山美智子/著、PHP研究所

赤と青で描かれた女性の絵。
1枚の水彩画によってつながる5つの物語。

今までの青山美智子さんの作品とは少し違う印象がありました。
でも読み終わると、これぞ青山さん、という感じなんです。

じんわりとあたたかく、包み込んでくれる。

赤と青がとても効果的に使われていて、もしかしたら誰もが人生の分岐点にいる時、その人のもつ「色」が彩りを放っているのかもしれない、と思いました。

私の色は何色だろう。

白猫が登場するお話が胸に響きました。

みんなにすすめたくなる、青山美智子さんの最新刊です。