わたしたち
One。
『わたしの全てのわたしたち』サラ・クロッサン/著、最果タヒ/訳、金原瑞人/訳、ハーパーコリンズ・ジャパン
グレースとティッピは16歳の、腰から下がつながった結合双生児。
はじめての学校生活、かけがえのない友達、家族、恋、別れ。
つまりは普通の生活なんだけど、普通じゃない生活。
詩のかたちで綴られた、唯一無二の青春小説です。
カーネギー賞ほか、たくさんの章を受賞した作品。
読んでよかったと、心から思います。
『One』という原題も『わたしの全てのわたしたち』という邦題も、切なくなるほどにすべてを表わしている言葉。
ふたりでひとりであり、ひとりがふたりなんだ。
詩のかたちで紡がれる物語は、読みやすくてするすると読めてしまうのだけれど、ひとつひとつの言葉に含まれた意味の重みが、ズシンと胸にきます。
この本の素晴らしさを、みんなに知ってほしい。
たくさんの人に読んでほしい物語です。
めんどくさい
私もめんどくさい本屋です。
『めんどくさい本屋』竹田信弥/著、本の種出版
100年後まで残る本屋を。
東京・赤坂の選書専門書店『双子のライオン堂』の店主の、これまでとこれから。
本屋はお守り、という言葉にグッときました。
私も本屋をはじめて、同じように感じています。
本業がありながら本屋なんてやれるだろうかという思いと、「休みがなくて大丈夫?」と心配するまわりの声。
本屋をすることが自分の重荷になってしまったらどうしようと、開店当初は小さな不安がありました。
でも、それは杞憂でした。
本屋は、お守り。
自分の居場所を自分でつくるとは、こういうことなんだなあと、実感するしあわせな毎日です。
嫌なことがあっても、私には本屋がある。
本屋の日にはすべてがリセットされて、自分らしさを取り戻せる。
本屋はお守り。
本屋を続けるために本屋意外の仕事もする竹田さん。
今の私にもぴったりと当てはまる生き方でした。
いろいろな生き方があっていいんだと気づかせてくれる1冊です。
猫の浮世絵
江戸の猫。
『にゃんとも猫だらけ』平木浮世絵財団
浮世絵の中に描かれた猫たちを集めた贅沢な画集。
女性と戯れる猫もいれば、擬人化された猫に、化け猫まで。
浮世絵にこんなにたくさんの猫が描かれていたとは驚きです。
猫が人々に愛されていたことが伝わってきます。
浮世絵のことはよくわからない、という私のような人でも、丁寧な解説付きなので、猫をさがして楽しく眺めながら浮世絵の世界を学ぶことができて、さらなる興味をひかれます。
そして、だんだんと可愛く見えてくる不思議。
浮世絵に描かれた猫って独特ですよね。
それが可愛く見えてくる。
にゃんとも不思議です。
奥深い浮世絵の世界。
一緒に一歩足を踏み入れてみませんか。