ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

猫のダンス

これも「ねこおどる」絵本!

f:id:nekoodoruneko:20190928144137j:plain
『こねこのジェーンダンスだいすき!』バレリー・ゴルバチョフ/作、あらいあつこ/訳、きじとら出版

バレリーナになることを夢見る子猫のジェーンは、朝から晩まで踊っています。
テラスで踊っていると、友だちが集まってきて、思い思いのダンスを踊りますが…。

ダンスの楽しさと友だちの大切さが伝わってくる、あたたかい絵本です。

思いがけない方から、開店お祝いにいただいた絵本。
私の宝物になりました。

軽やかな絵と、楽しそうなダンスの描写に、子ども達に読み聞かせながら一緒に踊りだしたくなりそうな、そんなワクワクする絵本です。

読書会@アトリエ

9月29日、寄居読書会でした。
ネコオドルが移転したため場所の提供ができなくなりましたが、変わらず参加していきます。

今回の会場は図書館2階のアトリエでした。

第16回目、課題本は新美南吉『ごんぎつね』
参加者は5名。
初参加の方もいて、フレッシュな会になりました。

f:id:nekoodoruneko:20191005141639j:plain

『ごんぎつね』は学校の教科書で読んだことがあるという人がほとんど。今回はそれ以来ぶりに再読したという人が多かったです。
私は図書館で新美南吉作品にふれる機会があって、数年前に絵本を手にしたことはありましたが、きちんと向きあって読むのは久しぶりでした。

草花の描写が豊かで、ほのぼのとしたものを感じる。

ひとりぼっちの兵十と、ひとりぼっちのごん。
ごんは兵十と友だちになりたかったのではないか。

「ごん、お前だったのか」という兵十の言葉にうなずくごん。
その時、ふたりはわかり合えたはず…。

こんなような意見が出てきました。
なにより「かわいそう」という感想が全体に強く、動物好きには辛いお話でもありました。

後半は、新美南吉の生涯を確認しながら、新美南吉の詩をみんなで朗読しました。

若くして病気で亡くなった新美南吉
恵まれた生涯とは言えなかったかもしれませんが、後世まで子どもたちに慕われ読まれている童話を創り出したことは、本当に素晴らしいことだと思います。

今回の読書会をきっかけに、他の作品も読みたくなりました。

さて、次回は10月14日、芥川龍之介『秋』です。
アトリエ・リカさんに場所をお借りしての開催、楽しみです!

猫だもの

青年と猫のふれあい。

f:id:nekoodoruneko:20190805233556j:plain
『猫だもの ぼくとノラと絵描きのものがたり』
いせひでこ/絵と文、かさいしんぺい/文、平凡社

牛乳配達の青年が出会ったノラ猫キタカルとの日々。

作家のかさいしんぺいさんが綴るキタカルとの思い出を、いせひでこさんの柔らかい絵が彩ります。

人間から愛されるノラ猫の話を聞くと、ホッと安心して、気持ちが和らぎます。

家猫がしあわせか外猫がしあわせかなんて、人間の基準でそんな単純に決められることではないと思うから、今生きている環境で幸せであってほしいのです。

それにしても、猫好きな男性が猫と触れ合う、それだけでキュンとします。

そんなキュンもいっしょにどうぞ。

変わり者のネズミ

ねずみの絵本。

f:id:nekoodoruneko:20190924154638j:plain
フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』レオ・レオニ/作、谷川俊太郎/訳、好学社

冬にそなえて食料を集めて働く野ねずみたち。
でもフレデリックだけは、何もしないでぼんやりしています。
フレデリックが集めたのは、光と色と言葉。
長い冬、野ねずみたちを救ったのは、フレデリックの集めたものたちでした。

谷川俊太郎が訳したことで、この絵本の深みがぐっと増していると思います。
フレデリック谷川俊太郎にしか見えないマジック!

人の存在や役割には色々な形があると教えてくれて、みんなと同じことをしなくてもいい、自分の信じているように動いてもいい、と、背中を押してくれるお話です。

社会の中で居場所を見つけられずに悩む人や、人の上に立つ立場の人たちに、読んでほしい1冊です。

何度も

愛を見つけた。

f:id:nekoodoruneko:20190924140900j:plain
『100万分の1回のねこ』講談社

佐野洋子さんの名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる、豪華作家陣によるアンソロジー

江國香織山田詠美町田康角田光代、そして谷川俊太郎まで…
なんて贅沢な本なのでしょうか。
どの作品も作家さんの個性が際立っていて、期待を裏切りません。

そして、絵本『100万回生きたねこ』が描いた愛について、幸せについて、思いをはせ、胸の奥深くをじーんと震わせる。

大好きな絵本がさらに好きになる魔法をかけてくれます。

読み応えあります。

水の近くで

熊本の久子さん。

f:id:nekoodoruneko:20190519170940j:plain
『みぎわに立って』田尻久子/著、里山

熊本で橙書店を営む田尻久子さん。
熊本地震のあと、店舗を移転された橙書店。旧店舗での思い出と新しいお店の日々の気づきが織りまぜられた、みずみずしいエッセイ集です。

雨や川など、水にまつわる文章が多く、読んでいると、心の奥底で波だっていた感情がいつのまにか鎮まり穏やかになっていました。

猫が好き。
青が好き。
人の顔が覚えられない。

自分との共通点がわかると嬉しくなるのは、私も書店を営む「久子さん」だから。

なかなかきちんとできない私ですが、丁寧に生きることはまた別物で、今からでも取り戻せるかもしれない、と、静かに綴られた文章を読みながら思ったりしました。

装丁も手触りも素晴らしい1冊です。

幸せに暮らす場所

すべて尊い命。

f:id:nekoodoruneko:20190519171053j:plain
『ねこのおうち』柳美里/著、河出書房新社

ひかり公園で産み落とされた6匹の猫たち。
猫とその家族が奏でる命の物語。

不意打ちのように、残酷な運命を見せつけられる。
命は、重く、儚い。
奪うのも、愛するのも、人の勝手な都合だ。

振り回されることなく、平和に、穏やかに、猫の気ままに生きられる世の中になりますように。

そんなことを思いながら読みました。
猫を守りたいと願うすべての人にこの本を贈ります。