猫のダンス
これも「ねこおどる」絵本!
『こねこのジェーンダンスだいすき!』バレリー・ゴルバチョフ/作、あらいあつこ/訳、きじとら出版
バレリーナになることを夢見る子猫のジェーンは、朝から晩まで踊っています。
テラスで踊っていると、友だちが集まってきて、思い思いのダンスを踊りますが…。
ダンスの楽しさと友だちの大切さが伝わってくる、あたたかい絵本です。
思いがけない方から、開店お祝いにいただいた絵本。
私の宝物になりました。
軽やかな絵と、楽しそうなダンスの描写に、子ども達に読み聞かせながら一緒に踊りだしたくなりそうな、そんなワクワクする絵本です。
読書会@アトリエ
9月29日、寄居読書会でした。
ネコオドルが移転したため場所の提供ができなくなりましたが、変わらず参加していきます。
今回の会場は図書館2階のアトリエでした。
第16回目、課題本は新美南吉『ごんぎつね』
参加者は5名。
初参加の方もいて、フレッシュな会になりました。
『ごんぎつね』は学校の教科書で読んだことがあるという人がほとんど。今回はそれ以来ぶりに再読したという人が多かったです。
私は図書館で新美南吉作品にふれる機会があって、数年前に絵本を手にしたことはありましたが、きちんと向きあって読むのは久しぶりでした。
草花の描写が豊かで、ほのぼのとしたものを感じる。
ひとりぼっちの兵十と、ひとりぼっちのごん。
ごんは兵十と友だちになりたかったのではないか。
「ごん、お前だったのか」という兵十の言葉にうなずくごん。
その時、ふたりはわかり合えたはず…。
こんなような意見が出てきました。
なにより「かわいそう」という感想が全体に強く、動物好きには辛いお話でもありました。
後半は、新美南吉の生涯を確認しながら、新美南吉の詩をみんなで朗読しました。
若くして病気で亡くなった新美南吉。
恵まれた生涯とは言えなかったかもしれませんが、後世まで子どもたちに慕われ読まれている童話を創り出したことは、本当に素晴らしいことだと思います。
今回の読書会をきっかけに、他の作品も読みたくなりました。
さて、次回は10月14日、芥川龍之介『秋』です。
アトリエ・リカさんに場所をお借りしての開催、楽しみです!
変わり者のネズミ
ねずみの絵本。
『フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』レオ・レオニ/作、谷川俊太郎/訳、好学社
冬にそなえて食料を集めて働く野ねずみたち。
でもフレデリックだけは、何もしないでぼんやりしています。
フレデリックが集めたのは、光と色と言葉。
長い冬、野ねずみたちを救ったのは、フレデリックの集めたものたちでした。
谷川俊太郎が訳したことで、この絵本の深みがぐっと増していると思います。
フレデリックが谷川俊太郎にしか見えないマジック!
人の存在や役割には色々な形があると教えてくれて、みんなと同じことをしなくてもいい、自分の信じているように動いてもいい、と、背中を押してくれるお話です。
社会の中で居場所を見つけられずに悩む人や、人の上に立つ立場の人たちに、読んでほしい1冊です。
水の近くで
熊本の久子さん。
『みぎわに立って』田尻久子/著、里山社
熊本で橙書店を営む田尻久子さん。
熊本地震のあと、店舗を移転された橙書店。旧店舗での思い出と新しいお店の日々の気づきが織りまぜられた、みずみずしいエッセイ集です。
雨や川など、水にまつわる文章が多く、読んでいると、心の奥底で波だっていた感情がいつのまにか鎮まり穏やかになっていました。
猫が好き。
青が好き。
人の顔が覚えられない。
自分との共通点がわかると嬉しくなるのは、私も書店を営む「久子さん」だから。
なかなかきちんとできない私ですが、丁寧に生きることはまた別物で、今からでも取り戻せるかもしれない、と、静かに綴られた文章を読みながら思ったりしました。
装丁も手触りも素晴らしい1冊です。