ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

ぼくじゃないよ

見てたんだよ。ほんとだよ。

f:id:nekoodoruneko:20190119164349j:plain
『サンドイッチをたべたの、だあれ?』ジュリア・サーコーン=ローチ/作、横山和江/訳、エディション・エフ

ベンチに置いてあったサンドイッチを食べたのはだれ?
それは森のクマの話からはじまって…。
ぼくが語る、話せば長ーい、サンドイッチとクマのお話。

一体だれがサンドイッチを食べたのでしょうか?
意外な結末にクスッと笑ってしまいます。

あたたかい色合いで、細かく描かれているのにどこか大胆な絵が素敵です。
大人も子どもも楽しめる、ユーモアあふれる絵本。
食いしんぼうなあの人に、贈ってあげたい1冊です。

みんな大好き

猫が増えていきます。

f:id:nekoodoruneko:20190304104157j:plain
『10ねこ』岩合光昭/著、福音館書店

写真家の岩合光昭さんが撮影した猫たち。
ページをめくると、1ぴき、2ひきと増えていきます。

猫好きさんに岩合さんを知らない人はいないのではないかと思います。
世界ねこ歩きは必ず録画していたり。
写真集もたくさん出版されているので、1冊は持っていたり。

そんな大人だったら、子どもにこの本を読ませたくなるのでは!?

岩合さんの猫絵本。
ページをめくるたびに猫が増えるので、数字を覚えるのにも使えます。
岩合さん好きならば、「これはあの街の猫よ」なんて豆知識も披露したりして。

小さい子がはじめて出会う岩合さんの猫写真集としても。
岩合猫の英才教育にもなりそうです!

大切なあなたへ

旅立つあなたへ。

f:id:nekoodoruneko:20190304160006j:plain
『はじまりの日』ボブ・ディラン/作、ポール・ロジャース/絵、アーサー・ビナード/訳、岩崎書店

ボブ・ディランの「Forever Young」は、子どもを思うあたたかい名曲です。その歌詞を詩人アーサー・ビナードが日本語訳し、素敵な絵本になりました。

ダイナミックな絵で、希望あふれる世界が目の前に広がります。

親から子どもへの思いを伝える絵本。

卒業していく子ども達に読んであげたり、新しい一歩を踏み出そうとしている人に贈りたい絵本です。
猫もたくさん登場するので、猫好きさんには猫本としても。
人生の節目に手に取りたい1冊です。

子猫絵本の名作

きれいな水色に子猫が映えます。

f:id:nekoodoruneko:20190304104018j:plain
『ちいさなねこ』石井桃子/さく、横内襄/え、福音館書店

美しい表紙に、まずため息。
お話を読んで、またため息。
本当にすばらしい絵本です。

小さな猫の、大冒険。
ハラハラしながら読んで、ほっと安心して終わる。
「行って帰る」子どもが安心してお話の中に入れる物語。

子猫の表情や動き、親猫の勇ましさなど、猫の魅力もたっぷりです。

日本の昔懐かしい家屋や、街の風景、車の形などに、ちょっぴり歴史を感じます。
はじめて出版されたのは1963年ですから、納得です。

50年以上も愛され読み継がれている名作絵本。
くっきりと美しく、遠目がきいて、読み聞かせにぴったりです。

おまえはドミトリー

科学はニガテ…でも大丈夫!

f:id:nekoodoruneko:20190118123702j:plain
『ドミトリーともきんす』高野文子/著、中央公論新社

不思議な学生寮「ともきんす」。
お二階には寮生さんが4人。
朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹……
有名な科学者さん達ばかりですね。

私がこの本と出会ったのは、図書館での「科学道100冊」フェアです。
科学本100冊で構成されるこのフェアは書店、図書館の垣根なく全国で展開されていたので、知っている人も多いのではないでしょうか。私ももれなくこのフェアに乗った一人。図書館で2ヶ月ほどコーナーを作り展示していました。科学本といっても、ビジュアルの美しい本や入門書が多く、興味をひくような本がセレクトされていて、とても楽しいフェアになりました。

フェア本のなかでもマンガは異色だったので、この本は印象に残りました。

そんな印象的な本を、最近、思いもかけないところで人からいただきました。
おお、おまえは科学道……!
感動の再会。

フェアを展開していたものの読んでいなかった私に、「読め」という天からの指令が下ったのでしょう。

この本のテーマは「科学者たちの言葉」。
科学は苦手という人でも、マンガでとても読みやすいと思います。

猫と過ごす時間

手に取ると泣いてしまう。

f:id:nekoodoruneko:20190304104135j:plain
『てつぞうはね』ミロコマチコ/著、ブロンズ新社

ミロコマチコさんが、愛猫てつぞうとの日々を描いた絵本。
猫好きなら誰もが手に取り、誰もが泣いた、そんな絵本です。

猫にはそれぞれ個性があって、同じ子は1匹もいません。
我が家にも5匹の猫がいますが、5匹それぞれに性格もこだわりも違います。
でも、よそのうちの子のことでも「そうそう、そうだよね」って共感できるのが猫好きなのかもしれません。
猫と人間の関係は、それぞれ違うはずだけど、愛情に変わりはない。
いたずらだって才能だと、みんながほほえむ。
やさしい気持ちにあふれています。

この絵本を開くと、猫への愛を作者からも、それをやさしいまなざしで受け止める読者の存在からも感じることができて、猫への限りない愛の海に投げ出されたようで泣きたい気持ちになります。
そんな絵本です。

この絵本を大切に思う人には、坂本千明さんの『退屈をあげる』もきっと心に刺さると思います。
猫への愛を深めてくれる絵本です。

読書会@ネコオドル

3月3日、ネコオドルで読書会を開催しました。
寄居読書会の第9回目です。

課題本は夏目漱石夢十夜
参加者は6名。

f:id:nekoodoruneko:20190304155933j:plain

自己紹介では、夏目漱石について思うことをそれぞれ一言ずつ話しました。
やはり「坊ちゃん」のイメージが強いのだなあという感じです。

夢十夜』は、「こんな夢を見た」ではじまる夢のお話10編で構成された短編です。
「夢」というだけあって、とりとめのないお話ばかり。
不思議で怖い感覚は、まさに夢の中の世界のようです。

超短編ばかりなので、みんなで朗読しながらひとつひとつに感想を言い合いました。

子どもを背負った第三夜は、怪談そのもの。
話を覚えてしまって子どもに語っていたという人も。

お爺さんと蛇と笛の第四夜は、ハーメルンの笛吹きを連想させるという話に。
また、虜になった男の第五夜は太宰治の『走れメロス』を連想させる、という意見も。
やはり夢の世界、いろいろな要素が入り交じっているんでしょうか。

庄太郎と豚の第十夜は、アプリゲームのような世界だという感想が。豚の鼻先をピッと触ったらバタッと倒れる、その繰り返し。まさにゲームです。
イケメンなのに定職につかず女の人ばかり見ているダメンズぶりには、女性陣の反応が大きかったです。

とりとめのないけれど、奥が深い、まさに深層心理のような「夢」のお話。

語り合うにはもってこいの作品です。
それぞれの夢にまつわるお話をはじめたら止まらなくなりそうな、そんな読書会になりました。

さて、3月はもう一回、読書会があります。
3月末に、桜の下で、お花見読書会。
楽しみです。