ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

猫の世界もむずかしい

宮沢賢治の猫のおはなし。

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『猫の事務所』宮沢賢治/作、黒井健/絵、偕成社

かまどの中で眠るため、いつもススだらけの「かま猫」。
体が汚れているからと猫仲間から嫌われていて、事務所でもほかの猫からいじめられています…。

いろいろな猫が出てくるのですが、私はもう「かま猫」の味方です。
すべての猫を愛する私からしたら、不当な扱いを受けている猫がいるなんて我慢なりません。それも猫同士で!
思いのほか感情移入して読んでしまった絵本。

このお話を知らない方は、ぜひ一度読んでみてほしい。
大人のための絵本です。

ずっといっしょ

大切にしているぬいぐるみ、ありましたか?

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『こんとあき』林明子/さく、福音館書店

あきと、おばあちゃんが作ってくれたぬいぐるみのこんは、大の仲良し。あきが大きくなってもずっと一緒ですが、だんだん古くなりほころびてしまったこん。治してもらうために、おばあちゃんの住む街へ行くことにしたふたりの、冒険のお話です。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
こんがあきを心配させまいと言うせりふが、あたたかい。
あきを守ろうとするこんに、涙があふれてしまう大人も多いようです。

日本うまれの名作絵本です。
子どもたちに読んであげたい1冊。

魅惑のコレクション

宝石のように美しい。

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『世界の美しいボタン』エリック・エベール/監修・コレクション・執筆、本田万里/仏語翻訳 、パイインターナショナル

私にはコレクター気質がないらしく、モノを集めるということにあまり興味がありません。本も読めれば満足で「持っていたい」という気持ちはあまりないので、本当に好きな本しか家にありません。

でも、こんな風に綺麗なモノを見せられたら、いいなあと、思ってしまいます。
世界中の美しいボタンたち。

こんなに美しいモノをコレクションして1冊の本にまとめて、その感動をおすそわけしてくれるコレクターの方に、感謝したいと思います。
私はこの本を、本当に好きな本の1冊に加えています。
『世界の美しいブローチ』もあわせて愛でたい。

パイインターナショナルの15cmサイズのこの世界シリーズは、どれも素晴らしいです。
『世界のポスト』が最初の出会いだったのですが、こちらは絶版になっているようで持っていません。
本当に欲しいモノは、そのときに手に入れないといけないんだと、コレクターの心得のようなものを学んだのでした。

猫のいる庭

猫好き作家さんによる猫の絵本。

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『ハーニャの庭で』どいかや/作、偕成社

どいかやさんの描く優しいタッチの絵が大好きです。
どいかやさんは、保護した猫たちと暮らしている猫好きさんです。新しい服を買わずに今あるものを大切に暮らすなど、その暮らし方にも惹かれるところがたくさんあります。いつもTwitterを見ては憧れを募らせているお方です。本当に素敵なんですよ。

どいかやさんの猫の絵本の中でどれを紹介しようかと迷いましたが、どいかやさんの暮らしを表したようなこの絵本を選びました。
自然豊かな、山の途中の家のお庭が舞台。季節の移り変わりを、優しく丁寧に描いています。

私の家でも、猫が庭でくつろいでいると、ほっこりした気分になります。自然の風や緑のなかにいる猫の姿は美しく、のびのびとして見えます。

自然への愛情たっぷりの絵本。
優しい気持ちになれる、あたたかい作品です。

男の子も女の子もお母さんも満足!

おたすけこびと、現れないかなぁ。

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『おたすけこびと』なかがわちひろ/文、コヨセジュンジ/絵 、徳間書店

徳間書店の編集者さんのお話を伺う機会があり、そのときにこの絵本にまつわるエピソードも聞くことができました。

特に「いいなあ」と思ったエピソード。
乗り物好きな男の子のお母さんが、乗り物好きとは限らない。この絵本は働く車がたくさん出てくるけど、お菓子作りのお話なので、乗り物に興味がないお母さんにも楽しめるよ、ということ。

なるほど。

子どものために、子どもの好きな絵本をたくさん読んであげたいけど、お母さんの興味がない分野だと、お母さんも大変ですものね。読むのが苦痛になって、子どもが望む絵本を読んであげなくなってしまうのは避けたいことです。
双方が楽しめて満足できる絵本を作り上げたことは、本当に素敵なことだと思います。
お菓子好きな女の子とお父さんペアにも有効ですね(笑)

『おたすけこびと』はシリーズになって、大活躍しています。
まずはこの、最初の1冊を!

優しい思い出

電力会社のCMでおなじみ、と言うと年代がばれてしまいますね。

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『わすれられないおくりもの』スーザン・バーレイ/さく・え、小川仁央/やく 、評論社

子どもの頃、CMで見た美しい絵が印象的で、この絵本を知りました。

死んでしまったアナグマさんが残していった、忘れられない贈り物。
アナグマさんはいなくなっても、ひとりひとりの心の中にアナグマさんはずっといるのです。

死別の悲しみ、それを乗り越えること。
難しいテーマです。
美しい絵で綴る、静かで優しい物語は、決して押しつけることなく、それを子どもたちに教えてくれます。

「死別」を扱った絵本は他にもいろいろありますが、この絵本のいいところは、読んだ者の感情をむやみに揺さぶるようなことはせず、静かに穏やかに、そのことを考えるチャンスを与えてくれるような優しさを持っているところだと思います。

大人にも読んでほしい、美しく優しい絵本です。

世界で一番美しいもの

猫は美しい。

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『世界の美しい猫101』レイチェル・ヘイル・マッケナ/写真、山根義久/監修、大浜千尋/訳 、パイインターナショナル

ただの猫の図鑑ではありません。
美しく、可愛らしいのです。
ビジュアル重視で撮影された写真は、猫好きの心を鷲掴みにします。

もちろん、猫の種類や特徴も掲載されているので、図鑑としても重宝します。

猫好きなら、猫好きなら、持っていたい!
そんな1冊。
プレゼントしたら絶対喜ばれます。